しにあな日々 ~mikologs

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読書録 「 すぐ死ぬんだから 」 内館牧子著

久々に内館さんの本を読みました。キャッチなタイトルに惹かれて。

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この本は好き嫌いが別れる気がする。わたしは、ドンピシャではまりました。

昔から内館さんのエッセイが好きでよく読んでいたので、わたしのなかでは、「 ハナさん 」= 内館さんだ。

ストーリーとしては、信じていた旦那の死後不倫が発覚しそれに立ち向かう、嫁姑問題を無難に解決しハッピーエンドと、可もなく不可もなしという感じ。

けれど、シニア世代に向けた応援歌と捉えれば、ぐっさぐっさと響く。

こころに刺さった言葉、本文より

 

年を取るということは退化ですから。人は退化に比例して外見に手をかけるしかないと思っています。退化をカバーするのは、エクササイズや食事も含めて、まずは外見磨きだと思うのよ。

「 人は中身 」などという女に限って、『 私、年齢は忘れてるんです 』とありきたりなことを言いたがる。年の取り方のうまい人に、外見がみすぼらしい人、いないでしょ。 

街頭インタビューに答えるハナさん。牧子節炸裂!!! 

「外見ではなく人は中身だ」という老人をバッサリきります。60代になったら絶対に実年齢にみられてはならないとまで。

外見を気にすることはマイナスではなく、「 自分と積極的に向き合うことだよ!」と言ってくれてる気がする。

髪をアイロンで巻いたり、赤い口紅をひいたりすると気分が上がる。

ボディークリームでマッサージしたり、ダイエットを頑張れば自分に手をかけてるなって得意だったりする。

そんな些細なことの積み重ねが老後には必要で、生きる力になるのかな、なんて思う。

 

老人とリュックの話も強烈。

そこまで言うか、お牧さん! さすがである。

あえて辛辣な言葉を羅列することで、そんなんでいいのか、しっかりしろ! 自分をもっと磨け!という、愛の鞭なんだと思う。

耳が痛い。リュックは使わないが、カバンの斜め掛けをやる。これも楽だから。

しゃんとしなければ…。

 

おそらく、若い人の多くは気づいてる。男も女も、年齢取れば取るほど、見ために差が出る。放っとくとどんどんヤバくなることを。

「 ヤバい高齢者 」の多くは、自分がヤバい範疇にいることに気づいていない。

ただ、それを注意するのは非常に難しい。思い切って注意すれば、返ってくる答えは「 どうせ、すぐ死ぬんだから 」と続くはずた。「すぐ死ぬんだから 」いうセリフは、高齢者にとって免罪符である。

 

この本は、内館さんが80代中心の集まりに参加したときに感じたことを表現しているようだ。その会合の参加者は、免罪符のもとで生きる男女と、怠ることなく外見に手をかけている男女にくっきりと二分されいたそうだ。

『 残酷なことに、同年代とは思えぬほど、外見の若さ、美しさ、溌溂ぶりにはっきり差が出ていた。あの時、外見は内面に作用すると実感させらたものだ。』とある。

 

わたしは、仕事で毎日多くの人に接している。ほんとにピンキリだ。

残念なことに、素敵だと思う人に当たることは少ない。人の振り見て我が振り直せだ。

老いを受け入れどう生きるかは、これからの最重要課題だ。

理想を現実化するのは大変。でも、「 自分を自分で放棄する 」ことだけは避けよう。

内館さんと同じように、自戒をこめてこの本を胸に刻んでおこう。

 

久しぶりにいい本に当たったのでちょっと長すぎた…💦

 

すぐ死ぬんだから (講談社文庫)